2005年 02月 15日 ( 1 )

義血侠血 by a☆i, Keita 784th day

Minolta SRT101 MC W.Rokkor-S1 28mm F2.5 @Stanley Park, Vancouver, Canada

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泉鏡花も好きな作家である。
嗚呼っ、鏡太郎さんっっっっっ。

泉鏡花が好きというと
「化け物好き?」と、言われてしまう。
これは、代表作が「高野聖」、
その他「夜叉が池」「海神別荘」などだからであろうが、
いや、これら作品ももちろん好きだが、
鏡太郎さんは、化け物を書きたかったわけではない
と、勝手に思っている。

まず文体が粋でいい。
そして、物語り全体が
まるで透き通った水面のような
静謐で、しっとりとした感じに包まれている。
さらに、女性が妖怪であれ人間であれ、
底抜けに綺麗だ。
形容しがたいほどの透明感、
涼やかな眼差し(←これは私の勝手な妄想)
凛っとした毅然な態度。
目標としたいものの、
(おそらく)マザコン鏡花の妄想・理想が
詰まっているため、どうにも近づけない、
非現実的なほどにたおやかで美しい。

この、「義血侠血」は、妖怪ものではない。
なんとも切ない悲恋の話だ。
かいつまむと、水芸人「滝の白糸」は、
苦学生欽様に、惚れこみ学資を仕送りする。
ある時、用意していた学資が盗まれ殺人騒動になる。
数回の尋問で口を割らなかった滝の白糸の前に現れたのは、
法律を学び晴れて検察官となった欽様。
いとおしい欽様の前で白糸は包み隠さず全てを打ち明ける。
欽様、殺人を犯した恩人を起訴。結果、死刑を宣告される。欽様、宣告の夕べ、自害する。
ほんの数十ページの短編にぎっしり。ずっしり。読むたびに、狂おしく、切なくなる。

数年前、「鏡花幻想」という(原作「婦系図」)浅丘ルリ子主演の舞台を見た。
あんな年寄りで濃い顔した人が、愛する鏡太郎さんの作品を・・・・と、半ば憤慨しながら見に行ったものの、
見ているうちに、どんどん彼女の世界に惹きこまれていった。
あまりの美しさに、舞台終了後は、号泣した。
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by keita-aoi | 2005-02-15 13:50